大判例

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東京地方裁判所 昭和34年(ワ)7869号・昭34年(ワ)5477号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕もつとも、板橋税務署は昭和三二年九月二六日に別表(Ⅰ)(Ⅱ)の各(1)欄記載の物件について差押調書を作成しながら(このことは当事者間に争がない)、当時現実に右物件を占有し、又は右物件について封印その他の方法により差押を明白にしたことを認めるに足りる証拠はなく(この点に関する証人成田昭吾の証言(第一、二回)はたやすく信用することができない)、かえつて、<証拠>によれば、板橋税務署が右物件について封印又は公示書により差押を明白にしたのは、原告ゼノビヤが被告に対し別表(Ⅰ)(Ⅱ)の各(2)欄記載の物件を引き渡した日より後である昭和三三年一〇月一四日であることが認められるから、板橋税務署は別表(Ⅰ)(Ⅱ)の各(1)欄記載の物件のうち各(2)欄にも記載されている物件については、差押をもつて被告に対抗することができず、従つて被告は板橋税務署に対し、右物件につき所有権を主張し、旧国税徴収法(明治三〇年法律第二一号)第一四条に基き、右物件の取戻を請求しえたことが明らかである。そして被告が右取戻請求権を行使したとすれば、右物件の公売を防止することができ、その結果前記履行不能は生じなかつたものと考えられる。しかしながら、前記法条に基く取戻請求権は滞納者以外の第三者に対し右第三者の有する所有権を保全するために与えられた権利であつて、これを行使すると否とは第三者の自由に委ねられており、第三者がこれを行使する義務を負うものでないことは当然である。そして第三者が右所有権を譲渡担保のために有している場合であつても、譲渡担保設定者(譲渡人)の滞納という譲渡人自らの責に帰すべき事由であつて、しかも第三者の何ら関知しない事由に基き譲渡担保物件に対して滞納処分として差押がなされた場合には、第三者が前記法条に基く取戻請求権を行使する義務を譲渡人に対する関係において負うものでないことは前同様である。従つて被告が右取戻請求権を行使しなかつたことは当事者間に争がないが、このことによつて、前記履行不能が被告の責に帰すことのできない事由に基くとの前示判断を覆えすことはできない。(上野宏 矢口洪一 青山正明)

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